平成27年度、精神障害の労災請求件数は1306件。そのうち、「上司とのトラブルがあった」は259件。業務による心理的負荷評価表にある36項目の出来事の中で最も多い。

2番目に多い出来事は「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」で152件、3番目に多い出来事は「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」で151件、ですから、「上司とのトラブルがあった」が、ダントツに多いと言えます。

「上司とのトラブルがあった」の具体例で示されている「上司から、業務指導の範囲内である強い指導・叱責を受けた」について考えてみました。

「業務指導の範囲内である強い指導・叱責」を受ける側と与える側で、心理的負荷強度の認識にギャップがあるのではないでしょうか。

受ける側は、業務指導の範囲内であっても、強い指導・叱責は心理的負荷が強い。与える側は、業務指導の範囲内だから、強い指導・叱責の心理的負荷は受容レベル。

このギャップを解消するため、リスクとして共通認識したらどうでしょうか。「業務指導の範囲内である強い指導・叱責」は、精神障害のリスクです。

与える側は、業務指導による目標達成が目的であって、強い指導、叱責をすることが目的ではありません。<リスクの事前対策>として、リスクがある強い指導、叱責ではなく、別の業務指導手法を習得したいですね。

受ける側は、<リスクのコンティンジェンシー対策>として、強い指導・叱責があったとしても、精神障害にならないようにストレス耐性を強化するのが良いですね。

株式会社ストレスマネジメント実践研究所 北尾一郎
<うつ病のない日本の職場を目指して、健康経営の実践に貢献します>

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