「職業におけるメンタルヘルス対策の推進について(厚生労働省)」によると、強い不安、悩み、ストレスの内容のトップ3(H24の複数回答)は、1.職場の人間関係の問題(41.3%)、2.仕事の質の問題(33.1%)、3.仕事の量の問題(30.3%)です。

その後に続く内容は、会社の将来性の問題(23%)、定年後の仕事・老後の問題(21%)、仕事への適応の問題(20%)、昇進・昇給の問題(19%)、雇用の安定性の問題(16%)です。

これらの問題はプロジェクトマネジメントなどの問題ではなく、キャリアの問題です。

この強い不安、悩み、ストレスに関する調査はH24なので、非正規社員の割合が増加している現在はさらに雇用の安定性の問題などキャリアの問題が増えているかもしれません。

プロジェクトメンバー(社員)の自己実現/承認/所属の欲求を満たし動機づけるような職務編成は、プロジェクト成功(組織目標の達成)への貢献も大きくなるキャリア開発です。

一方で、会社事情や個人のキャリア実績などによりプロジェクトメンバー(社員)全員の自己実現/承認/所属の欲求を満たす職務編成はありえません。

このような場合でも、自己理解を深め自分を知り、自分の将来をキャリアデザインしながら現在を行動することで、強い不安、悩み、ストレスを緩和し、また、プロジェクト成功(組織目標の達成)への貢献ができるようになることもキャリア開発です。

このように、キャリア開発、メンタルヘルス未然防止、プロジェクト成功(組織目標の達成)は相互に作用しているので、職場環境の改善は、メンタルヘルス未然防止、プロジェクト成功(組織目標の達成)のみならず、キャリア開発も加えた総合的な判断が大切だと改めて思いました。

株式会社ストレスマネジメント実践研究所 北尾一郎
<うつ病のない日本の職場を目指して、プロジェクトの職場環境改善に貢献します>